奥地建産株式会社

次世代の太陽光発電システムの安全性を追求する。

地上設置型太陽光発電システムの耐風圧性能試験

※国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業

水平型動風圧試験装置

加圧ファン

動風圧試験装置導入の目的

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」の一環として実施されている「耐風安全性および水害時感電防止を考慮した合理的設計手法の開発」において、太陽光発電システムの耐風安全性に関する実証試験用として導入されました。この装置を用いて、各種構造形式の支持架台および太陽電池モジュールを対象に、動風圧試験(耐風圧試験)を行い、そこで得られた知見をもとに、2017年8月にNEDOのWebサイトで公開された「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2017年版」のブラッシュアップを行います。

動風圧試験装置の仕様

本装置は、地上設置型太陽光発電システム(太陽電池モジュール+支持架台)の耐風圧試験用として特別に設計されたものであり、世界最大規模の水平型動風圧試験装置です。圧力チャンバーの2つの壁は可動式になっており、太陽光発電システムの試験体の寸法に合わせて調整することができます。圧力チャンバーの最大有効寸法は幅16m×奥行6m×高さ4mであり、太陽電池モジュール1 枚の試験体から、60セルの太陽電池モジュールで最大6段×10列の太陽電池アレイとその支持架台を含む試験体まで、様々なサイズの試験体に対応することができます。また、この装置の最大加圧能力は±15,000N/m2 で、設計基準で求められる設計風荷重までの加圧だけでなく、支持架台や太陽電池モジュールの破壊するまで加圧することができ、設計風荷重に対する構造的裕度も確認することができます。

名称

水平型動風圧試験装置

仕様

圧力チャンバーサイズ(可変式)
幅:1.5~16m × 奥行き:1~6m ×
高さ:1~4m
加圧能力
正:0~15,000N/m2,負:0~-15,000N/m2
正・負:±7500N/m2 (正弦波脈動加圧可)
加圧ファン
シロッコファン55kW
(200m3/min, 8,500 N/m2)× 2機

動風圧試験の概要

耐風圧試験の目的は、太陽光発電システム(太陽光モジュールとその支持架台)が、①設計風荷重などの目標荷重に対して許容応力度の範囲内にあるのか、②そのシステムの終局耐力が設計風荷重に対して、どの程度の余裕があるのか(設計裕度)を確認することです。
①については、目標荷重まで載荷(加圧)した後に一旦、除荷し、試験体の各部の残留変位(変形が残っている状態)がないことで判断します。また、②については、システムを破壊するまで載荷することによって終局耐力を求め、設計荷重と比較することで確認します。

動風圧試験装置とはもともと建築物の窓や扉などの耐風圧性能や気密性能などを調べるための装置で、加圧ファン、圧力制御弁および圧力チャンバーから構成されます。風洞装置のように試験体に風を直接当てるのではなく、強風時における風圧に相当するような圧力を試験体に作用させる装置です。

許容応力度とは「構造物の構造要素を構成する各材料が外力に対する安全性の確保を目的として、設計上各部に生ずる応力度が超えないよう定めた限界の応力度」を意味し、地震荷重や風圧荷重などの短期荷重に対応する短期許容応力度と、自重や多雪区域の積雪荷重などの長期荷重に対応する長期許容応力度に分類されます。太陽光発電設備の各部材や接合部を許容応力度の範囲内で設計するということは、想定される長期および短期の荷重(設計荷重)を受けた場合においても弾性的性質を保つことができ、当初の構造性能を維持できるということを意味します。

動風圧試験のよくある質問

Q1.
動⾵圧試験装置とはどのような装置ですか?
もともと建築物の窓や扉などの耐⾵圧性能や気密性能などを調べるための装置で、台⾵等の強⾵時における⾵圧に相当するような⾼い圧⼒を窓や扉などの試験体に作⽤させることができます。今回導⼊した装置は、太陽光発電システムを対象に耐⾵圧性能を調べるための動⾵圧試験装置で、太陽電池モジュールと支持架台を再現した試験体を⽤いて、システム全体の耐⾵圧性能を確認することができます。
Q2.
この装置を⽤いて、どの程度の強⾵(台⾵)まで確認することができますか?
動⾵圧試験装置では、試験体に⾵を直接当てるのではなく、強⾵時に作⽤する⾵圧に相当する圧⼒を試験体に加えます。この装置の場合、太陽光発電システムの太陽電池モジュールに作⽤させることになりますが、太陽電池モジュールに作⽤する⾵圧は、モジュールの設置⾼さや設置⾓度、⾵向などにより⼤きく変化しますので、⼀義的に⾵速に置き換えることはできません。なお、この装置の最⼤加圧能⼒は±15000N/m2 ですので、例えば、太陽電池アレイ⾯の平均⾼さ3mで設置⾓度が20°、北側からの⾵向(アレイの⾼い⽅から⾵が当たる⾵向)の場合、平均⾵速で約80m/s注のときの⾵圧に相当します。
注:地表⾯粗度区分Ⅲ、⾵⼒係数−1.6(JIS C 8955:2017適⽤)を仮定。突⾵率を1.5〜2.0とした場合、最⼤瞬間⾵速で120〜160m/sとなる。
Q3.
なぜ動⾵圧試験(耐⾵圧試験)が必要なのですか?
太陽光発電システムの太陽電池モジュールやその⽀持架台は、台⾵等の強⾵時に破損や⾶散しないように構造設計されています。その際、いくつもの仮定条件を設定して構造計算をするのですが、システム全体として多くの部材や接合部で構成されているために、期待する強度が確保できていないケースもあります。構造設計が適切であるかを検証するためには、実物を⽤いた動⾵圧試験(耐⾵圧試験)を実施することが最も有効な⼿法であると⾔えます。
Q4.
NEDO プロジェクトと動⾵圧試験の関係は?
本NEDO プロジェクトは、太陽光発電システムの設計ガイドラインの策定を⽬的としております。動⾵圧試験では、市販されている代表的な構造形式の支持架台を選定し、それらに太陽電池モジュールを取り付けて、システムが破壊するまで圧⼒を載荷します。その結果から、現在の設計基準(電気事業法やJIS C 8955)への適合性、構造的な弱点部や問題点などを整理し、そこで得られた知⾒を設計ガイドラインに反映します。
Q5.
動⾵圧試験装置が導⼊されるまでの期間は?
構想・設計〜製作・建設まで、約9ヶ⽉間かかりました。
<参考>
○構想:3ヶ⽉(平成28年7⽉〜平成28年9⽉)
○設計:2ヶ⽉(平成28年10⽉〜平成28年11⽉)
○製作・建設:4ヶ⽉(平成28年12⽉〜平成29年3⽉)
Q6.
⽇本国内でも同様の試験装置があると思いますが、今回の試験装置との違いは?
その優位性は?
⽇本国内にはおよそ⼗数基ありますが、その多くが建築物に使⽤されている外壁やカーテンウォール・サッシ等の耐⾵圧性能を把握するための試験装置であるため、鉛直型(試験体を鉛直⾯に設置するタイプ)の動⾵圧試験装置が⼀般的です。今回導⼊した動⾵圧試験装置は、⽔平型の装置としては国内最⼤、世界的にも最⼤規模であり(⾃社調べ)、従来試験が困難であった太陽光発電⽤架台を含むシステム全体の試験が可能となります。